最近話題のシアン化合物、毒性は?そもそも基準値とは何か、まで紹介!!

シアン化合物という名前を、どこかで聞いたことはありますか。

 

おそらく最近では、築地市場移転で検出どうのとか、そういう騒ぎで聞いたなあ、という方が多いと思います。

 

ただ、実際シアン化物って何なの?という方は多いと思います。

高校化学でもちょろっと出てきたぐらいで、覚えている方はほとんどいらっしゃらないと思います。

ということで今回は、シアン化物というものを徹底解剖してみましょう。

それで、余計な情報に惑わされずに自分で判断しやすくするのです。

シアン化物で何が騒がれているのか、明確にするのがこの記事の役割です。

 

なるべく、化学式は使わずに話します。

個人的には化学式を使ったほうが情報量が多くてわかりやすいのですが、それは「化学語」を学んだ人に限られますので。

 

シアン化物とは何か?

まず、シアン化物の定義について。

シアン化物とは、シアン化物イオン(CN-)が物質に入っているものを指します。

 

例えば、青酸カリです。

青酸イオンはシアン化物イオンの日本語名、カリはカリウムのことです。

某漫画の改変で、「ぺろ……これは青酸カリ!」というセリフもあり、また推理小説における毒殺にもよく使われるため、聞いたことがある方は多いと思います。

 

「毒殺に使われる!? やっぱ豊洲新市場は危ないじゃないか!」

という声が聞こえてきそうですが、まあ待ってください。一度立ち止まってください。

シアン化物は、もちろんまとまった量があれば猛毒ですが、豊洲のような状況では違ったものになります。

 

その話をはじめる前に、シアン化物がどういうものかという話を続けます。

 

 

 

シアン化物がどのように人間に作用するかという話です。

シアン化物は体内でエネルギーを作り出している部分に入り、そのエネルギー生産工場の一部である酵素に結合します。

 

これのせいで、シアン化物は体内でエネルギーを作ることを阻害します。

そしてそれで、体内のさまざまな部分でエネルギー不足が起こり、まとまった量を摂ってしまうとあっというまに死にます。

だいたい青酸カリで0.2-0.3 グラムぐらいで、飲んでから10分以内に死にます。

 

一方で、シアン化物は、ごく少量ならば、少なくとも短時間での影響はありません。

実際、果物や梅にはごく少量のシアン化物が含まれています。

 

発がん性も、ほとんどないと言われています。

まったくないと証明されたわけではありませんが、今まで見つかってないぐらいには発がん性が小さいと言えるでしょう。

 

この、「死ぬか、まったく影響がないか」(all or nothing)が、シアン化物の特徴です。

 

では、豊洲はどうでしょうか。

基準値を超えた、ということについて

s2

豊洲では、基準値を超えたシアン化物(とベンゼン)が検出されたとして大騒ぎになっています。

 

でも、なぜ基準値を下回ったら問題ないとされるのか、気になったことはありませんか?

 

これは、基準値の決め方を知ることで解決します。

 

シアン化物は、発がん性がほとんどないため、純粋に毒性が基準の根拠になっています。

 

これはシアン化物に限らないことですが、まず統計的に明確な差が出るところを動物実験や調査で決めます。

そこに不確定要素があるだろうとして10分の1の量、別の要因でさらに10分の1の量、として「どんな不確定要素があっても影響がまったくない量」を基準値とするのです。

 

例えばシアン化物の場合、最初の数値の根拠が動物実験なので、人間と動物の差で1/10としています。

さらに個人の感受性の違い(酒に弱いとか強いとかと同じ)で1/10、からだの部位ごとのデータが不足していることから1/10、として、最終的な基準値は動物実験で明確な差が出たところの1/1000を基準値としています。

 

これだけの根拠があるので、私は「基準値」を信頼しています。

ベンゼンについても、ベンゼンは発がん性が根拠なので小さい数字でも効いてきそうという懸念はありますが、基準値に憤慨してイライラしたり怯えたりしてストレスがたまるほうが体に悪いぐらいだと思って信頼しています。

 

つまりは、基準値以下は「気にしたら負け」の領域なのです。ふざけて言っているわけではありません。マジです。

基準値がそれなりに正しそうなら。

気にしすぎたら、潔癖症と同じでそっちの方が有害だと考えられるのです。

 

 

 

これが「基準値を下回れば十分安全」の根拠です。

ただ、豊洲の場合は安全の数値を超えてしまったので、対策をしてほしいなあ、と思うのです。

まとめ

ということでまとめると、

・シアン化物は十分な量摂るとすぐ死ぬけど、ごく少ない量だと何も起こらない

・基準値とは、実験を根拠に、かつ「安全を見込んで1/10」などとしたもの

・基準値を下回ったなら、あとは怯えたりしてストレスが溜まるほうが有害

 

というのが、この記事のお話でした。

 

ムダな風評被害で余計な予算がかかっているほうがなんとかしてほしい、と個人的に思う今日のこのごろでした。